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ガラスはどうやって作られる?

古代から現代まで様々な製造方法で試行錯誤されてきました。

砂型鋳造法、クラウン法、キャスティング法、シリンダー法、ラバース法、蓄熱式加熱法、フルコール法、コルバーン法、ロールアウト法、フロート法
といったように数多くの方法が試されてきました。

世界のガラス製造方法の歴史


ガラス製作方法
紀元前1世紀
砂型鋳造法
4世紀~7世紀
クラウン法
1668年
キャスティング法(フランス)
1800頃
シリンダー法
1850代
蓄熱式加熱法(ドイツ)
1905年
ラバース法(アメリカ、機械吹き円筒法)
1913年,1916年
フルコール法(ベルギー)コルバーン法(アメリカ)
1950代
フロート法(イギリス)
今回は、現代で用いられているフロート法、ロールアウト方について見ていきましょう。

フロート法

フロート法が生まれるまでは、砂で作った鋳型に溶かしたガラスを流し込み、冷却させることで成形したり、円筒上に吹いたものを切って長方形に伸ばした上で歪みを取るために磨いたりといったように平滑な板ガラスを整形することは容易ではありませんでした。

しかし、1952年にイギリスのピルキントン・ブラザーズ社が世紀の発明とも言われる「フロート法」を発明しました。
フロート法では、溶けたガラスを、フロートバス内の1100°Cで溶かした錫(すず)の上に、決まった速度と量で流し入れます。つまり、速度を変えることでガラスの厚みも自由に変えることもできます。

ガラスは錫と比重が違うので、ガラスは錫の上に浮かんだ状態になります。

それをゆっくり冷やし、洗浄し規格・特注寸法に切断することで完成です。

フロート法が生まれたことで平滑で平坦で火造りの美しい光沢をもつガラスを大量生産できるようになりました。

なお、フロートガラスの板厚は3mm〜19mmまであります。

ロールアウト法

ロールアウト法は網入りガラスを作る際に用いられています。

1922年、米国のフォード自動車会社(FordMotor Co.)で自動車王ヘンリーフォード(Henry Ford)が発明しました。
この方法はガラスタンク窯の末端部から溶融ガラスを2本の水冷ロールではさんで圧延する方法で、後工程の徐冷、粗擦り・研磨の工程までを一貫する流れ作業方式「フォード方式」として確立されました。

かつては、型板ガラスと網入り・線入り板ガラスを製造する時に使われており、ロールアウト法で製造したガラスを「変わり板ガラス」呼ばれていました。現在では、網入り・線入りガラスを作る時にだけ用いられています。

ロールアウト法で作ったガラスは歪みが生まれてしまうのでグラインダーで粗擦りした後に、ポリッシャーなどで表面の微細な凹凸を磨くことで透明で平滑なガラスに仕上げています。

そのため、「透明網入り板ガラス」を「磨き網入り板ガラス」と呼ぶこともあります。

次に板ガラスの主成分を見てみよう。

ガラスの主な原料は熱膨張係数の少ない珪砂(けいしゃ)とガラスを成形するための溶かしやすくするソーダ灰(Na2O)と耐水性を上げるための石灰(CaO)などです。
ガラスは金属や炭素分子を含まないので経年劣化はほとんどありませんが、全く劣化しないというわけではなく、唯一「水」だけがガラスを風化させます。

ガラスの表面上から水へとNa+が溶け出すことで「青ヤケ」「白ヤケ」といった現象を引き起こします。

美観を損ないますが、実用に当たっての強度には影響はありません。

これらのヤケを除去するには表面の研磨しかないため、鏡や窓では交換するのが簡単でお勧めします。

参照文献
「板ガラス製造技術発展の系統化調査」森 哲
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